「帰郷庵」開館10周年記念講演会
今日は嘉村礒多生家「帰郷庵」開館10周年記念講演会の日だ。
「え? 礒多をテーマにした講演会なんかあったの? 知ってたら参加したのに!」
という方も世界に3人くらいおられるかもしれないが、
今回はコロナ対策で一部の関係者のみの招待制になった。とても悔やまれる。
わたしは本当なら昨日の中原中也賞授賞式や空の下朗読会に参加しているはずだったのだが、
仕事の都合で無理じゃった。とても悔やまれる。
湯田温泉には泊まったけれども。とてもいいお湯だった。
昨夜、慣れないホテルの剃刀で髭を剃って地味に出血したり、
今朝は寝癖をなおそうとした結果、ヘアスタイル迷子になったりしたが、
どうにか会場のクリエイティブスペース赤れんがに到着した。
礒多を読む会の会員で設営に取り掛かったら思いの外早く準備が整った。
講演は現代詩作家、書評家、随筆家の荒川洋治先生である。
演題は「嘉村礒多の世界」どんな内容になるのか全く謎だった。
私は礒多を読む会代表として司会を担当した。
で、講演の内容なんですが、
とても面白かったんですよね。
ええ。
礒多の小説の特徴というか良さは説明がしにくいという話から始まって、
ではなんで説明が難しいのかという話になり、
国木田独歩と比較してみたり、世界の文学を軽くさらって礒多が死ぬ時期、
戦前の文学のこととか、まあ、講演の魅力の説明も難しいのだが。
話し方の変化だったり、話題の持って行き方だったり、
ああ、この人は本当に文学が好きなんじゃという感じがぶち伝わってきて、
司会を担当していることを忘れていた(笑)
講演終了後、荒川先生を多田美千代先生と共に礒多の生家「帰郷庵」とお墓、
『神前結婚』の舞台になった妙見社に案内した。
まるで原田宗典の『小林秀雄先生来る』とカズオイシグロ『充たされざる者』を
足して2で割ったみたいだと思いながらプリウスを走らせた。
ものすごく緊張していた。
講演会と案内を無事終えてほっとしている。
謝辞
コロナで大変な時期にも関わらず今回の提案に対応して講演会開催まで漕ぎ着けてくださった山口市役所の方々と、
講演会に出席してくださった皆様に感謝します。ありがとうございました。
礒多を読む会の会員の皆様もあれやこれやの準備と雑務、お疲れ様でした。
そして私はほっとしている。
ほんたうにほつとしている。
追記
『小林秀雄先生来る』と『充たされざる者』は両方、偉い人が講演をしにくるみたいなストーリーで、どちらもちょっとフィクションっぽさが強い。