777円のレシート
今朝、自分が普段起きる時間よりもずっと早い時間に、左足のふくらはぎが攣ってうわ痛った! 痛いけど眠い!
という最悪な目覚めだったせいか、1日体が重く(山口弁でいうと「えらい」)疲れが蓄積してゆくばかりだった。
頭痛と鼻水と喉の痛みがあり、どうも風邪気味である。おまけにふくらはぎには爆弾を抱えているし、心なしか土踏まずの辺りも痛み出す始末だ。
数日前にコタツで寝たのがいけなかった。あれからとても調子が悪い。
フラフラな状態で仕事帰りにローソンに立ち寄り、いったい何を買いに来たのかを幾度も忘れながら、カゴにモンスターエナジーの瓶のやつと、アクエリアスやらのど飴やらミルクフランス(パン)を入れてレジへ行くと、
「777円です」
と櫻井孝宏に似た店員に言われて、とにかく疲弊していたからそれが少し嬉しくて、ツイッターで「買い物したらゾロ目やった」とかレシートの写真と一緒につぶやいてるのを見たりすると、すごく冷めた感じで、あっそ、とか思っていたが、ひょっとしたら今の自分くらい疲弊した人が些細なラッキーを公開しなければ立ち行かなかったのかもしれないと考えると、成る程あれにも意味があるように思えてきて、「777円だった」というどうでもいいツイートを写真とともにネットに晒そうと考えていたら、櫻井孝宏に似た店員は233円のお釣りをくれただけで、レシートはくれずレジの向こう側にあるらしいレシート入れにぽとりと落とすと、少し慌てて後ろにあるサーバーに駆けつけ宇治抹茶ラテの準備に取り掛かった。
あれ、くれないの? と一瞬ぽかんとしながら呆気にとられていたが、冷静に考えればやっぱりどうでもいいことのように思えてきて、車の中でミルクフランスを宇治抹茶ラテで流し込みながら、
777円のレシートなんかなくても生きていける
と思った。
そんな、些細なラッキーに支えられなくても、わざわざ公開しなくても大丈夫で、明日はすっかり頭痛も、鼻水も、喉も、ふくらはぎも全く問題なく健康になっているはずだと自分を洗脳した。
家に着いて、飲みかけのモンスターエナジーの瓶をドリンクホルダーから取ろうとしたら、蓋をちゃんと締めてなくて持ち上げたときに外れて瓶が落ちてこぼれた。車の中がモンスターエナジーの香りに満たされた感じがあった。鼻が効かない。
ティッシュでこぼれたであろう場所を闇雲に拭き取る。
やっぱり、あのレシート欲しかったな。
今日は雨が降ったから、田んぼから聞こえるカエルの鳴き声が大きい気がした。
おかきは文学だろうか?
昨日の深夜ブログに書いた短編小説は、先週の文学フリマ金沢の合宿のときに日本酒で酔っ払いながら交わした会話からうまれた。
翌日にイベントをひかえているとは思えないペースで皆が飲み放題のビールや地酒、持込みのシャンパンなどを飲みまくる中、明日の文フリではおかきの販売があるのだと耳にした。
おかき? なんで?
私は少しだけ嫌な予感がした。
なんか、文フリ大阪の開会式でやった「舞」みたいになりはしないかと。
文フリ大阪でなんで「舞」があったのか? 私も含めた参加者の殆どは未だによくわかってないと思う。
それが価値あるもので、「文学」であると信じるなら、その「舞」がいかに「文学」もしくは「文学的」であるかについての本をサークル参加して頒布するべきだっただろう。そこまではしないにしても、もう少し「なぜ舞をやらんといかんのか」についての説明は必要だったと思う。
そもそも、文学フリマはアニメ、マンガ、ゲーム等のいわゆる普通の同人誌即売会やイベントとは趣が異なる。
人気が出た作品の二次創作でそのときもっとも熱いジャンルの需要と供給が常に合致しながら、同人誌即売会やイベントは企画され盛り上がり持続する。コミケだって常に新しい作品で新陳代謝されながらこれまで続いてきた。もちろん、ジャンルがものすごく多岐にわたり一概には言い切れないだろうが。少なくとも常にそのときを代表するコンテンツなり作品に勢いを牽引されてきたことは間違いないだろう。
対して文学フリマは真逆のベクトルで、大塚英志の
「文学なんてマンガとか雑誌とかの利益で赤字補填して延命してるだけじゃねーか」
というごもっともな意見から始まった。
「延命させたきゃ自分でやってみ? 一回目だけなんとかする」
「お前が文学だと信じるものを持ってこい」
熱い呼びかけにそこそこの人数が参加して今に至る。その経緯は2011年に文フリ事務局が頒布した「これからの『文学フリマの』話をしよう」という本に詳しい。
出店要項にも、
- 文学フリマは「自らが<文学>だと信じるもの」を自由に出店する作品展示即売会です。
と書かれている。
私は何も、古典文学や芥川賞作品的な物のみが<文学>だと言いたいわけではない。ただ、サークル参加者は全員「自分の作品が文学だろうか?」という疑問を微かに頭の隅には入れておいてほしいと思っていて、それについて他のサークル参加者がどう考えているのか知りたかったから、金沢の合宿に参加したというのもある。
様々な意見を聞くことができたのは収穫だった。合宿ありがとう。
よし、「舞」は仮に文学だとしよう。歴史があり、残す価値があると信じ残そうとしている。たまたま、その活動の場として与えられたのが文学フリマ大阪の開会式だったと。
おかきは文学だろうか?
文学? 文学的? うーん、本ですらないしなぁ。
私はへべれけになりながらも
「とりあえず<文学>だとでっち上げてほしい」
みたいなことを言って、こういう感じの短編小説をおまけに、いや、小説におかきが付いてくれたらと大まかに物語の流れを話した。
その短編小説を読んで<文学>だと思うか、ただの小説のできそこないだと思うかは読み手に委ねられている。
残念ながら自分で読むと客観的にはなれず、何度読み返しても<文学>だとは思えない。
短編小説「おかきをチョコで包んだもの」
長いこと、関係がうやむやになっていた彼女から突然電話があり、荷物を取りに来るという。
確かにいつまでも彼女のものが自分の部屋にあるのは鬱陶しいと感じていたが、捨てるに捨てられず、捨ててもいいかをわざわざ尋ねるもなんか面倒で、結局そのままにしていた。
細々したものがおそらくあちこちに点在しており、どこに何があり、彼女は何を取りに来るのかはわからなかった。
そもそも、スマホで電話という機能を使用したのが久しぶりで、アニラジばかり聞いていたから、電話がかかったときものすごく慌てた。
こういう、離婚後の夫婦みたいなやり取りを自分がすることになるとは思ってもみなかった。
土曜日は仕事で、その後直接飲みに行く予定なんよねと伝えると、勝手に取って帰るから鍵をいつもの場所に隠しておくように言われた。
土曜日の深夜、会社の人たちとの飲みからグロッキーな状態で帰って来ると、自分の部屋がスッキリしたように見えた。けど、街で一軒だけ建物が解体されたときみたいに、そこに彼女の何が置かれていたのか、すぐには思い出せなかった。
ざっくり目に見える範囲ではクマのプーさんのぬいぐるみとサボテンと歯ブラシとピンクのコップくらいだった。実はへそくりでも隠していて、無事持って帰ることに成功したのかもしれない。机の上にどこかのお土産らしいおかきが置いてあった。そういえば、ツイッターに金沢に行ったとか書いてあった気がする。
つーか、フォロー外そう。
おかきはなぜか富山のもので、思わず
「金沢じゃないんかい」
とこぼしてしまった。
部屋から彼女の物がなくなり、彼女から貰った最後の物はこのおかきで、これを食べ終わったらもう彼女のことは忘れてしまうだろうか。
物がなくなっても、一緒に居たときに自然に真似てしまっていた癖とかで思い出すだろうか。
例えば私は、手を洗った後にブンブンと振って水を払ってからタオルやハンカチで拭いていたが、彼女と過ごすうちに指先をパッパと弾いて払うようになっていたことに離れてかなり経ってから気づいた。
まだ他にも染み付いて、真似ていると意識していない癖があり、それを発見するたびに想起することがあるかもしれない。願わくばそれが、精神的に健全なタイミングであってほしい。
お腹がこれといって空いていたわけでもないが、おかきを食べることにした。
チョコに包まれたおかきで、サクッとした食感とおかきの醤油っぽい味、遅れてチョコの甘みとおまけにビターな感じ。
高級な柿の種をチョコで包んだやつみたいで、思っていたよりずっと複雑な味で美味しいかった。
口の中がパサパサになった。今日は会社の人と随分お酒も飲んだから余計に喉が乾く。けれど、なんだか全部食べ終わるまで飲み物は飲みたくない気持ちになって、次々に小分けされている袋を開けて食べた。
咳き込んで、むせて、少しだけ泣いた。
日本の味とチョコの味。
乾いて甘くて苦みもあって。
日の出屋製菓の「チョコっとあられ」と「かおり千枚」美味しかったよ。 pic.twitter.com/JWthkNP3zJ
— 中24@ヴィリジアン・ヴィガン (@Naka24Viridian) 2015, 4月 25
文フリ金沢
合宿・文学フリマ金沢・レポート
4月18日。早朝。
サンダーバードに乗り換え金沢に向かう。
車内販売がないことをこの時知っていたハズなのに。
金沢に到着するまで殆どなんの下調べもしていなかったが、
バスのフリーパスチケットを買い、まずは中安旅館に向かう。
ゴールの場所を知っておかねばならなかったし、荷物を預けたかった。
金沢を観光しまくる。
設営する人たくさん集まりとても良い。
今回は本を頒布したりする気がなくて本当にすいませんでした。
『嘉村礒多』という読まれなくなった文学を、着なくなった服のように売ると言う事。
文学フリマ金沢。
始まったよ。
私小説を頒布しますよ。
#bunfree pic.twitter.com/EdwbVbkPQ9
— ヴィリジアン/文フリ金沢い−14 (@Naka24Viridian) 2015, 4月 19
近江町市場。
近江町市場楽しすぎた。
#bunfree pic.twitter.com/AsuUvj3TFk
— ヴィリジアン/文フリ金沢い−14 (@Naka24Viridian) 2015, 4月 19
ぶち美味いんじゃけど。
#bunfree pic.twitter.com/AaohhTTvYV
— ヴィリジアン/文フリ金沢い−14 (@Naka24Viridian) 2015, 4月 19
ウニ。蒸し牡蠣。大学イモ。のどぐろの炙り寿司。ブースが少ないことや、狭いことにも、良し悪しがあるなあとしみじみ。
11月24日文学フリマ 東京と金沢
おしらせです。
11月24日文学フリマ東京にサークル参加します。
ヴィリジアン・ヴィガンのブースは【B-33】です。
私が書いた小説と、山口県出身の私小説作家、嘉村礒多の選集を頒布する予定です。
現在、選集の2冊目を制作中です。
あと、5月の文学フリマ東京には参加せず、4月19日の文学フリマ金沢にサークル参加する予定です。
どちらも、都合がよろしければお願いします。
今週は、地域の溝の掃除とか、我が家の米運びで疲れてしまいました。
木曜日にツイキャスをやるつもりだったのに、寝てしまうほどの疲弊。
できれば、先々週のツイキャスで話した内容をブログにまとめたかったのですが、30キロの米を30回運ぶと1週間引きずることがわかりました。
とりあえずは選集の制作に集中して、終わってからこのブログで告知してゆけたらと思ってます。
そもそも「嘉村礒多」ってどんな人なの? ってところから説明しないといけませんね。します。
この文フリ東京でどれくらいの人に興味を持ってもらえるのか、楽しみであり、不安でもあります。
チェルノブイリツアー動画
どうもです。
どうにかこうにか、こしらえました。
申込みの〆切が10月1日なんで、期間的に効果があるかは微妙ですが……。
まあ、5分くらいの短い動画なんで見てやって下さい。
よろしくお願いします。
ウクライナの女性は美人やなぁとあらためて思うなど。
宣伝用動画と紹介する本のこと。
どうも。
昨年11月にゲンロン東浩紀監修のチェルノブイリツアーに参加しました。
30人ほどの参加者の中で、私ともう一人くらいしかビデオカメラを持ってなかったので、私はだいたいビデオを撮ってました。
みんなとても高そうな一眼レフ持ってました。最近はけっこう動画も撮れるみたいですけどね。
そんで、ツアーから8ヶ月も経った7月にようやくDVDを完成させ、希望する方には送りました。
ツイキャスをやった木曜日に「DVDを送ってください」という内容のメールを久しぶりにもらって、うれしくなり、
「他のまだ持ってない方にもまだまだ送りますよ」
とメールしたら、ツアーで通訳を担当された上田さんから、
「チェルノブイリツアー宣伝用の短い動画を作ってくれませんか?」
と頼まれて、今日はずっと編集作業してました。
明日には公開できるとよいのですが……。
第3弾チェルノブイリツアーの参加者募集は締切は10月1日ですからね。
ギリやないかい!
まあ、参加をためらっている人の背中をポンと押せたらいいなと思ってます。
あと、この宣伝用動画と引き換えに、ゲンロン側に頼みたいことがありまして。そのことは、また機会があれば書きます。
来週木曜日もツイキャスやる予定なんですが、そんなこんなで、読書の時間がとれていません。
でも、読む! 読み切る!
紹介する本は、
『夢、死ね!』著 中川淳一郎
『ストーカー』著 アルカジイ&ボリス・ストルガツキー/訳・深見弾
『世界はなぜ「ある」のか? 実存をめぐる科学・哲学的探索』
著 ジム・ホルト/訳 寺町朋子
の3冊です。
よろしくお願いします。